宇宙業界就職マニュアル

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”宇宙”や”ロケット”は、子供の頃から宇宙に関わるアニメや映画があったりで、”夢やロマン”がある職業なので、”そんなところで働いてみたい!”と思うひとは結構多いんじゃないかと思います。そこで、現役ロケット開発者の宇宙ちゃんねるが、”学んでおくとほんとに実践で役立つ(就職に有利になる”)こと”を少しずつ書いていきたいと思います。


「化学(バケガク)」を学ぶと必ず宇宙就職に役立ちます

これからは一番、ここが効いてくる(役に立つ)知識・素養になるのでは素直に感じます。周りを見渡すとそうですし、”新素材がロケットを変える”のではと実感しているからです。日本に限らずですが、ロケットは強くて軽い素材に変わりつつあります。それを担うのが”化学の力”だからです。

ロケットは打上能力向上の為、なるべく強さを保ちつつ、より軽くしていきたいです。飛行機なんかにもたくさん使われていますが、ロケットもより軽い金属(アルミ)⇒繊維強化プラスチック(”FRP”)になっていく傾向にあります。

繊維強化プラスチックで役立つ知識が”化学(バケガク)”なんです。文字通り”繊維”と”プラスチック(樹脂)”を使います。”繊維” はガラス繊維やカーボン(炭素:シャーペンの芯と同じですね)繊維からがおもで、当然、ガラスやカーボンといった素材の知識、また、”プラスチック”は身近なところにもプラスチック製品はたくさんありますが、”樹脂”を高めたものです。

樹脂はフェノール樹脂とか「石油の成分から作られる」なので、まさに”化け学(石油が化ける)”が必要です。ちなみにプラスチック(樹脂)は 繊維と混ぜたり、染み込ませ後、熱と圧力をかけて、固めます。


ここの技術は日進月歩で、いろんな”組み合わせ”で使うところに見合った特徴を作りだすことが日々研究されているといったところです。イメージは薬の新薬開発のような感じで、いろんなパターンの配合や温度、圧力を試してみて一番適したものにするといった感じです。

これからはもっと多くの部分で軽い繊維が使われるように進んでいくと考えます。今はどうしても金属の強さに勝てない部分がありますが、繊維の織り方などの工夫で金属と同様な強さをもつ材料がでてくるからです。

でも、金属の開発も負けていないかもしれませんね。皆さんもよく手にしているアルミは鉄の密度(1センチのサイコロの大きさでの重さ)は鉄:7.8グラムに対して、2.7グラムと半分以下です。繊維はおおよそ1.6グラムほどですから、アルミのほうがまだ重いですが、差は縮まります。

アルミも強くてより軽い素材が開発されたら、画期的になるでしょうね。その時はもう”アルミ”といわず新しい素材なので、別の名前がついていと思いますが….

まとめると、やっぱり繊維と樹脂をつかさどる化学(バケガク)の知識が強かったりすると、すぐ実践に入りやすく、仕事に就くときにはまちがいなく”有利”な点になると思います。

「ロケットの中身は結構,配線だらけです」(電気工学)

宇宙チャンネルの専門分野ではないので、概要となりますが、ロケットには幾つもの”ワイヤーハーネス”と呼ばれる電線をつないで機器を動かしています簡単に言うと、パソコンとモニターをつなくケーブルと同じです。


パソコンのデータをモニターに出力するように、ロケットでも電池を電気的うごかして、ロケットに点火したり、姿勢を制御するのに噴射の角度を変えたりする機器を作動したり、それぞれの機器に合わせて、ワイヤーハーネスを作っています。なので、ロケットの仕様に合わせてワイヤーハーネスを設計するための電気工学の知識が必要です。

あ、ちなみにロケットは毎回搭載する人工衛星が異なるので、かならずこの”ワイヤーハーネス”もマイナーチェンジが発生します。宇宙空間で使用できるコネクターやピン径など様々なサイズを使用するので、機器に応じた適切な部品を選択することができなくてはなりません。

電気の回路図が書けることも必要です。”回路図が書ける=図面が描ける”になるので、CAD((computer-aided design):コンピューター上での設計・製図ができることも必須です。何かものを作ってもらうためには設計図が必ず必要ですね。そして、ワイヤーハーネスを設計した後も”ワイヤーハーネスをどのようにロケットに取り付けるか”を考えなくてはなりません。

限られたロケットの空間の中に他のものと干渉せずに、取り付けやすい設計をすることも重要です。CADは基本的に空間が立体的にわかるように3D CADを使います。最終的にハーネスは人の手で機器どうしに取り付けていくことになるので、ハーネスの取り付け図面を描くときに、人が取り付ける姿を思い描きながら、”変な姿勢での取り付けにならないだろうか”を頭の中でよく考えて図を描くことが大切です。

今、ロケットの載せるワイヤーハーネスでも、やはり低コストにすることがとても重要に(やっぱりロケットは”値段が高い”ですから)なっているので、”宇宙環境でも使用出来るワイヤーハーネス部品”を選択できるような幅広い知識があるとよりいいのだと考えます。なので、宇宙業界に入り込む作戦として、まずは電気機器メーカーで電機に関する幅広い知識を得て、

その”自分の武器”を持って、宇宙業界へ入るというのもアリだと思います。これからはいろんな業界の人が宇宙産業に入ってきて、知りえなかった知識でどんどん進化していく必要があると考えています。

「ロケット・人工衛星も”機械”です」(機械工学)

ドラマ”下町ロケット”のバルブシステムでは何がキモだったでしょうか。バルブシステムそのものも重要ですが、帝国重工に真似できない、佃製作所の”高い製造技術”でしたね。この場合の製造技術は簡単に言うと”何ミクロンという極限に近い精度でものをつくる”ことです。

そこでベースになってくるのが機械工学です。機械工学と言っても幅は広いです。

主には以下の項目があります。

熱力学

熱が力学的な仕事を行う分野になります。ロケットの場合、ロケットの燃焼にかかわる部分で必要です。

下町ロケットですと、バルブシステムによってロケットの燃料(液体水素・液体酸素)を制御しますが、燃料(液体水素・液体酸素)を圧縮して燃やすことにより、高温高圧のガスを作り出し、それが一気に噴出すことによって、ロケットの推進力となる ”熱がロケットを動かす力”となるのです。


 

 

 

 

 

 

 

機械力学

”機械を動作をさせてものを動かす” 分野になります。

簡単な例でいうと、”自転車を動かす仕組みは人がペダルを動かす車輪が回り自転車が動き出します。ペダルの回転をチェーンや歯車などで自転車のタイヤの回転に変換していますね。

ロケットですと、ガスが一気に吹き出る部分:ノズルはロケットの姿勢を制御するのにいろんな角度に傾ける必要があるため、”アクチュエーター”と呼ばれる押し引きをする機械的に動くもので引っ張って傾けます。そのアクチュエーターは油圧や電動で動きますが、その動く仕組みは先ほどの自転車の例と同じように様々な機械の組み合わせでロケットを動かすことになります。


 

 

 

 

 

 

流体力学

物体が空気の流れや水の流れを受けた時にどれくらいの力がどのようにかかるのか、力の流れのメカニズムを解明する分野になります。ロケットでいう流体は気体(空気や高圧ガス)になりますね。ロケットでの例ですと、ロケットの表面には機能上必要な突起物が出ています。(例えば、配線をしている部分のカバーなど)

ロケットが超高速で進むときにこう言った突起物がロケットをローリング(回転)させ、姿勢を制御できなくなる原因になるので、あらかじめローリングしないように考えなければなりません。そのときに、超高速での空気の流れが突起物によってどうなるのかを知り、対策を打つ必要があります。

”ロケットを軌道通りに正確に飛ばす”ために必要となってくるのです。

(出典:横浜国大さまより)


 

 

 

 

 

材料力学

機械や構造物に負荷が加わったときの変形、そして破壊の原理を研究する分野になります。ロケットに限らず、世の中のあらゆるものは”どのくらいの力がかかったら変形または破壊するか”ということをあらかじめ知っておかないといけません。

ロケットの代表的な例では、飛んでいる時は超高速で飛んでいますので、空気抵抗を受けますね。その時に紙や木でできている部分があったら一瞬で壊れてしまいます。なので、その時にかかる力以上に強い強度の材料を選定しなければなりません。

話は下町ロケットに戻りますが、高性能のバルブシステムを作るにはまず、その設計ができなければなりません。

設計をするには、その材料の性質を知っていなければなりません。しかし、ただ材料の性質を知っているだけでは、機械や人が出来うる超高精度の寸法を達成することはできません。知った上で、どの加工方法・条件が最適かを多くの試作によって導き出すのです。

ドラマ”下町ロケット”ではそこが佃製作所しかでか出来ない”ノウハウ”なんですね。加工方法なども機械工学では一通り学びます。機械工学でいうと”生産工学”というところで加工方法などを学ぶのかと思います。


 

 

 

 

 

 

宇宙業界への就職マニュアルでは 化学、 電気工学とお伝えしてきましたが、機械工学はロケットを作るために全般に役立つものだと思います。そこから、流体や熱や金属材料などのスペシャリストに成る選択肢も広がります。

まず、ロケットを作るためにどんな分野を学べば良いんだろうと悩んだ時は、”機械工学”という道を進んでおけば、間違いはないかと思います。

「全ては本物で実証できない”解析(情報工学・科学)の力が必要」

50メートルほどある大きなロケットが安心だ」とどう評価したらいいか。

本当はまるまるプロトタイプモデル(実機大)のロケットを作って、様々な試験をやればいいのですが、ロケットのコストは大きさによってですが、よく飛んでいるH2Aロケットで80億、イプシロンロケットでも40億円弱です。さすがにコストがかさみますね。お金がかかってしょうがない。

そこで、”解析” で実際にできないことを補うということが出てきます。ロケットの世界では解析専門の”解析屋”さんが活躍します。

例えば 熱解析、ロケットが燃焼している時に燃焼している周辺箇所にどのような熱がかかるか。”今の構造で熱でやられてしまところはないか”様々な条件、時系列で解析をします。ロケットも燃え始めは輻射熱の影響で温度があがることは少ない、ずっと燃え続けていると当然、熱量がたまってきて高温になり周りの部分が耐えられるかと考えなければいけません。

基本的に解析は専用ソフトがやってくれます。では、たずさわる人はどんな能力はどう身に着ける必要があるか。そのソフトを使いこなせるベースとなる基礎知識がないとできないですね。熱解析であったら、熱の流れ(流体)やロケットを構成する材料の強度、固体や液体燃料が燃焼反応するときに生じる温度など様々な知識が必要です。

なので、その道に行くには、主に機械工学(燃焼工学・材料工学・流体力学)の幅広い知識のベースを持っていると有利だと思います。


 

 

 

 

 

 

 

結局は機械工学の知識と書いているうちに同じなってしまいましたが卒論や研究などで早いうちから解析をやって経験を積むことが”ロケット開発技術者”への近道になるかもしれませんね。