はやぶさ2 インパクター(衝突装置)で使用されたような火薬類は今後の宇宙開発にどう使われる?

はやぶさ・はやぶさ2

4月のはじめ、はやぶさ2に搭載されたインパクター:衝突装置が作動し、つい先日、クレーターがしっかりできている映像が公開されました。

クレーターを作る理由は報道でもある通り、小惑星の表面は長い年月、宇宙線などでさらされ変質が進んでいるため、小惑星が誕生した頃の成分を採取するには小惑星の内なる成分をとり、太陽系のできた46億年前の姿に迫ろうというものです。

小惑星でもこのリュウグウはC型小惑星に分類され、最も原始的をしている小惑星です。生命の源の有機物、それを知るため地球誕生時の姿を残している小惑星をしらべると”なぜ、我々が誕生したか”という謎を紐解くかもしれません。

実はあまり報道はされていないが、この衝突装置には全体システムとして僕らも携わっている。僕らが2014年におこなったころは”リュウグウ”という名称はなく、1999年発見されたことを示す「小惑星1999 JU3」

火薬を扱う製品は僕らの得意とするところでもあったからです。

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衝突装置は火薬を爆発し、その衝撃で銅板を弾丸のようになり、クレーターを作っていました。つい先日、映像でもクレーターができていたことが確認されましたね。

インパクター:衝突装置では爆薬を確実に爆破させる方法として、電気的に点火したもの(起爆)⇨伝爆薬⇨爆薬とその動作は一瞬だが段階的に火がついていき、おこなっている。

これは大まかには固体燃料を使っているイプシロンのようなロケットの打ち上げでも点火薬⇒推進薬と同じような段階的な燃焼方法になっている。(こちらは爆発でなく”燃焼(燃やす”)

ロケット分離の方法にはこの火薬を用いた分離方式:(火薬を使ってボルトを切断し、1段と2段をつなげているリングを外す)が使われているが、火薬というのが厄介で安全の面から輸送や組み付けにはいろいろな制限がかかっている。日本では散弾銃などの使用でも適用されている”火薬取り締まり法”というもので規制されている。

また、火薬による分離は、火薬を発火して”ガツン”とボルトを切断するので、どうしても分離するときの衝撃が大きくなってしまう。

これは、精密な制御機器・観測機器等を搭載している人工衛星には不利になり、どうしても人工衛星自体をそれに耐えらるような構造、つまり”ごっつく”しないといけなくなる。つまり、重くなってしまうわけだ。

重いとロケットの打ち上げ能力も上げる必要があり、より打ち上げコストがかかってしまうことになる。

なので、近年のロケットは分離方法は”脱火薬”の動きが加速している。アメリカのスペースXの代表的なロケット、”ファルコン9″は空気圧を使った分離方法を採用している。

現在開発中のH3ロケットの分離方式はH2ロケットと同じく、火工品による分離が採用されるが、構造を大きく変えることで火工品そのものの数を減らすようにしている。

H3ロケットも分離部の火薬使用”ゼロ”で人工衛星にも、コストにも優しいロケットに進むべきだと思う。

早く新たな方法を模索して、いろんな面で”やさしいロケット”を考えていくのが、今後の自分も含めた、ロケットを開発している人のミッションになっていく。

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