人は生身でどのくらい宇宙にただよえるのか?

宇宙のふしぎ

スターウオーズ/エピソード8  ”最後のジェダイ”をみた方からこんな質問を受けました。

”人間は宇宙服無く生身で宇宙空間に投げ出されると体が破裂して死んでしまうのですか?”
(ネタばれですが、レイヤ姫が宇宙空間に投げ出されるシーンがありましたね)

皆さんはどう思いましたか?先に書いたように

①体が破裂して死んでしまう。

②宇宙は相当寒いので凍死する。

③宇宙線に体がやられて死んでしまう。

など、いろんな意見があります。(ちなみに僕は有害な宇宙線でやられてしまうの③と考えていました)

実際には”窒息して死んでしまう”というのが正解です。

大気がなく無酸素で呼吸ができないので、10秒程度で意識を失います
(脳に酸素が回らなくなってです。空気がなく、真空なので大気圧がない。酸素に圧力がかかっていないと肺が気体を吸収できません。)

その結果、脳や血液に酸素がいかなくなる。

息を止めていてもいいのですが、こちらも宇宙空間に気圧がないことで肺の中の空気が膨張してしまう。

吐き出さないと肺が膨張した空気で破裂してしまう可能性があるので、口は開けたままにしなくてはいけません。(NASAの緊急用の手順書にも口を開けることが書いてあります。)

空気を吐き出したら、肺に空気(酸素)がなくなるので息をすいたくなりますよね。

でも、空気がない、あったとしても肺に圧力がかかっていないため吸い込めず、脳に酸素がいかなくなり10秒ほどで意識がなくなります。ちょっと想像しただけでもこわいです。

先に書いたそれぞれの意見(理由)はどうだったのでしょう。

①体が破裂して死んでしまう。

大気圧がないので人間の血液が沸騰し、気体となり膨張して破裂するなんていう事も言われたりしています。

ですが、実際には血液にも”血圧(心臓によって送り出された血液が動脈の壁を押す力)”と言う圧力がかかっているので、大気がない(気圧がない)としてもそうなることはありません。

ただ、先ほどの肺の空気を吐き出さないと膨張してしまうために口を開けますが、口の中の水分は圧力がかかっていないので、すぐ蒸発してしまうと考えられます。

水分の蒸発は水であれば、水が沸騰する温度100℃です。これは私たちが暮らしている地球 大気圧:1気圧の場合です。

地球上では下図のように大気圧があるので、常温では抑えられているため100℃にならないと蒸気になりません。

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宇宙空間は真空なので気圧がありません。気体になるのをおさえる圧力がないので、体の水分は蒸発してどんどん蒸発して奪われていきます。

口を開けているので、一番早く蒸発をかんじるのは口の中の水分、特に敏感な舌の水分の蒸発を感じます。

では、体の中の血液は気化しないのか?というとそうではありません。人の最低血圧って80mmHgぐらいですね。その血圧が:47mmHgぐらいまで下がると血液が沸騰(圧力が低い為、気体になりはじめようとする)してきます。

なので、そこまで血圧が下がった状態になると血液などが気化しはじめるので、体に気体がどんどんたまってきて、膨張します。

およそ2倍くらいに膨れ上がりますが、皮膚や血管はその膨張に耐えられるので破裂ということはありません。

また、②の″凍死”するというものですが、たしかに宇宙空間は絶対零度:マイナス273℃です。ただし、宇宙には空気がありません。なので、暑い寒いがそもそもないのです。

”寒い!”と感じるのは体の熱を奪うものがあるので、そう感じます。真冬にTシャツ1枚で外にでたら”寒い”と感じるのは、外の空気が体の熱をうばうからですね。

ちなみに宇宙服は宇宙飛行士が生命を維持するため、密閉されています。体から発する熱がにげるところがないので、体温が上がりすぎないように冷却装置(チューブに水を流し冷却)がついています。

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私、宇宙ちゃんねるが考えていた”宇宙線でやられてしまう”ですが、太陽などの恒星の近くでは当然、その熱で死んでしまいます。宇宙空間では有害な宇宙線放射線の一種が飛んでいて、それを浴びることになります。

即座に死に至るということではないです。ただ、放射線なのである被ばく量を超えると人体に悪い影響を及ぼすことになります。

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この宇宙線の被ばくは今後の宇宙活動での課題です。惑星探査というと何年もかかります。その間、宇宙線を浴び続けることは間違いなく人体に影響します。

放射線により人の遺伝子が破壊されるので、累積されると”がん”などの病気を発症するかリスクが高くなります。

これからは”いかに宇宙線を浴びないようにできるか”が重要になってくるのではないかと思います。

と考えると放射線を完全に通さない宇宙服が必要ですね。鉛は放射線を遮断するのによくつかわれますが、ある程度の厚さ:10センチくらいないと防げません。さすがに10センチを全身にまとうことはきびしいです。

なぜ鉛などがよくつかわれるかというと、密度が高いからです。

放射線は自身が持つエネルギーを透過する物質に与えて、エネルギーを失います。

エネルギーは物質がもっている電子にあげるようになります。電子をいっぱい持っているのは密度が高い物質になります。

密度は1立方センチメートル当たり:11gほどです。ちなみに金は19gともっと重いです。金の延べ棒は見た目の大きさより重いのはそのためです。

でも、さすがに金は高すぎて使えませんね。

なので、今後は

①放射線のエネルギーをより多く奪う新しいもの
又は
②宇宙放射線がよけていく方法
が必要です!

①では単位体積あたり、電子をより多く持っている物質、かつエネルギーをもらいやすい物質の開発をしていく必要があるのだと思っています。

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②では地球が核の磁場で有害な放射線から守られているように宇宙船や人の周りに強力な磁場を発生させて宇宙線が避けていくようにする

これから始まる”宇宙への長い旅”では必ず対策が必要になってきますね。

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