先日、2014年の年末に打ち上げられた”はやぶさ2”が今年の夏に着陸する”小惑星 1993 JU3“,(今は名前募集で決まり、”Rrygu(リュウグウ)”という名前が付いていますが)の姿をそのカメラで捉えたニュースがやっていました。
もう3年以上になるんですね。作っていたのがもうちょっと最近のように思います!3年ほど前、はやぶさ2でははじめてのこともあったので、運輸局に相談しにいったり、お客さんといろいろ調整したりした記憶がよみがえってきました。
3年以上、地球からのその移動距離は3億キロと果てしない距離を移動して、着陸は約半年後に近づいてきました。
地球1週が約4万キロなので、はてしない距離です!
なんで ”はやぶさ2はなぜ小惑星に向かうのか”、一概に”ロマン”なんていうことも言えるんですけど、もっと壮大なテーマがあるんです。この小惑星は太陽系が生まれた約46
億年前の昔の姿を残していて、この小惑星を調べれば、”太陽系がどうやってできたのか”、”我々、生命はどこからきたのか”を解明するというミッションがあります。
また、この未知への挑戦が子供たちに”オォー”と心をおどらせること、刺激となり宇宙へのあこがれや興味をかきたててくれる、大人も同じように”こんな宇宙の仕事をしてみい”と思うようなきっかけとなることもミッションの目的の一つです。
ここで”はやぶさ2”の機能を改めて。
はやぶさ2を動かす推進力としてイオンエンジンが使われています。イオンエンジン:キセノンという気体をイオン化し、電極でこのイオンを加速して、電子と混ぜて噴射します。
推力が大きくない分を電極での加速にして”イオンを飛ばす速さ”でカバーしています。秒速3キロだったものが秒速30キロになれば、それだけ遠くにすすむことができるようになりますんで。
イオンエンジンの”キモ”は”少ない燃料でも遠くへ行ける”ことです。今までに比べ積み込む燃料は1/5ぐらいですみ、さらにさっきかいたように今までより吹き出す速度が速いのでより遠くにいくことができるのです。
まさにイオンエンジンは今までの液体燃料の燃やすことによる推進力に変わる、”深宇宙への橋頭堡(きょうとうぼ:橋の土台という意味です)”となる技術です。
この言葉は近代ロケットの開発を飛躍的に発展させた”フォン・ブラウン”の言葉なのですが、以前JAXAの方が引用していたのにインスピレーションを受け、ちょっといい言葉だったので使わさせてもらいました。
また、はやぶさは地球から数億キロという果てしない距離にいますので、通信時間に往復で約40分かかります。
なので、ある状況の場合には”はやぶさ2自身”で考えるという自律装置がついています。今、AIが活況ですけど、宇宙開発にも重要なアイテムなのです。これからはますます”深宇宙”への旅が広がるので、そのあたりの技術も発展していくのだと思います。
そして、無事、小惑星のサンプルを採取し、地球への帰還の時は、はやぶさ2は燃え尽き、その一部であるサンプル採取カプセルが地表に戻ってきます。
大気圏突入している時にカプセルは空力加熱(超高速で進むと先端に空気が圧縮され、その空気の分子が激しく動き、それが熱になり数千度という高温になる)によりカプセルの表面も燃えてきます。
ここは僕たちが担当しているところで、基本的にはやぶさと変わらないのですが、表面のFRP(繊維強化プラスチック:ブロクではたびたび登場しています)が燃え、その燃焼により発生したガスで自身を守る”けむりのシールド”を作ることによってさらに表面をやられるのを低減します。
ここはFRPにどんな特性を持たせるか、技術のきものところになり、新薬の開発じゃないですけど、いろんな配合で最適なFRPを作っています。
そして、最後にちょっとおもしろい、SFっぽいですが、実際に確認していることで面白い話。
それは”惑星検疫 ”というものです。未知なる小惑星には、”もしかしたら生命体がいるかもしれない”、”人間が感染してしまうような病原菌があるかもしれない”ので、あらかじめ惑星の成分などを判断して、問題がないということを確認しています。
ほんとうに”起きえない”といえるものではないので、慎重に確認しなければいけませんね。人間がしっていることは宇宙からくらべればごくわずかなことだと思うので。
東京オリンピックの後になりますが、2020年12月ににふたたび地球に帰還して、”僕ら人類はどこからやってきたのか”という大きなテーマの解明につながるようにもうちょっと”はやぶさ2”の帰りをまってみたいと思います。
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