宇宙飛行士になるには その③ ”緊急対応力”はどう鍛える?

宇宙飛行士になるには?

JAXAの宇宙飛行士選抜試験にはその人の宇宙飛行士になるための能力を見極める試験が多くあるがその中に”緊急対応力”があります。

突然ですが”ジェット機のパイロット”というとまず何を思い出すでしょう。

年収?、木村拓哉が主演の「グットラック」?、きれいなキャビンアテンダント?などいろいろあるが、ぼくは映画にもなった「ハドソン川の軌跡」を思い出す。

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2009年、上空1000メートル、バードストライクにより両方のエンジンが停止した乗客155名がのった飛行機をハドソン川に不時着させ、全員が無事に生還した実は物語である。

トラブル発生後、わずか3分ハドソン川に不時着、機体に起きている状況を把握し、”何が最適か”を最速・最適に判断したからこそなしえたことです。

そして、もちろん同じような出来事は宇宙に出た人間にも起きています。

映画「アポロ13」

月着陸をめざし飛び立ったが、途中で酸素タンクが爆発し、月着陸は断念、数々の問題をかかえながら、宇宙飛行士と地上局の人々で懸命に地球に帰還することを考え、問題を解決し、無事に地球に帰還した映画です。

「アポロ13」からさかのぼること5機の”アポロ8”ではアポロ13で船長となる”ジム・ラベル”が地球への帰還途中の操作ミスでアポロの位置データがおかしくなり、六分儀という船の航海で使われる位置を測定するで対応して姿勢をなおし無事地球に帰還しました。

「ハドソン川の軌跡」、「アポロ13」どっちも”トム・ハンクス”でしたね。

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(アポロ13 宇宙飛行士、それを支える地上スタッフが”熱い”映画です。アポロ13のような宇宙探査機ではありませんが、ロケットでも様々なトラブルを乗り越えて”打ち上げ”が成功した時、似たような”感動”を味わうことができます。)

宇宙飛行士になった人でパイロット出身の人が多い理由の一つにこれがあります。

日ごろから大勢のお客さんを乗せ、何かあったときは即座に対応できるように訓練もされている。そして、何より実際にそういう場面に遭遇することが多く、緊急対応力の”経験”を多くこなしているということです。

また、この緊急対応力は仮に世の中の知能が”AI(artficial inteligence:人工知能)”にかわっても、そうそう人間にはかなわないのではと僕は考えています。それは、経験の重要なファクターですが、そもそも人間は動物で命の危険にさらされた時には”命を奪われまい”と動物そのものの本能が働き、緊急事態を回避するばか力を発揮すると考えているからです。今までの記憶にある出来事を頭の奥から根こそぎひっぱり出してきて、使えるものがないかと本能的に判断し、何とかその命を奪われるかもしれない事態を回避しようとうする。

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でも、パイロットになれる人ってごく限られた人しかいないですよね。パイロット以外の人たちはその緊急対応力をどう鍛えてけばを考えます。

宇宙業界ではよく不具合などの事態が起きたとき、”故障の木解析:FTA(fault  tree analysis)といった手法を使います。これは不具合の原因をつかむための手法でまず大まかな原因でカテゴリーを分け、その後は木が枝分かれするようにもっと細かい事象にして、原因となりそうなことを細かく出していきます。

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そこまでだと、”原因”となりそうなことがたくさんあることがわかっただけなので、それを今度はひとつずつその原因については確認していきます。

具体的には作業の記録やプログラムの再確認などをして、原因を一つづつ潰していきます。その結果”原因はこれだ!”と断定はできなくても”可能性が高い”というものが残ります。原因がわかればどう対処すればよいかは決まりやすくなります。

こういうのも毎回毎回やっていると原因⇒対応策をすばやく端的につかむことができるように。

これは宇宙業界に限らず、どこの業界でもおきているので、日ごろから意識をして”緊急対応力”を鍛えていくようにすればいいと思います。

宇宙飛行士を目指す人には、まずは日ごろから実践して、緊急対応力を育てていきましょう。

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