ロケットの作り方の前にそもそもロケットはどういったパーツでできているかを
説明しないとですね。
ロケットは大きく
①衛星格納部:ノーズフェアリング
②タンク部またはモータ部
③エンジン部又はノズル部
④継手部3
(JAXAさんより引用)
で構成されています。
1段式だと②〜④は一つづつですが、
2段、3段式となるとそれぞれ②〜④のパーツが増えていきます。
このように1段、2段.3段と順に切り離し、どんどん加速することによって地球の引力から脱出する方式で宇宙にいけるようになりました。これを発見したのは「ロケットの父」とよばれるロバート・ゴダード。
これはNASA 火星探査ロボットの開発者でもある小野雅裕(おの・まさひろ)さんが書かれている新書”宇宙に命はあるのか”でも書かれていますね。(この本、技術者がかいたとおもえない語り口で引き込まれます。今度、紹介したいと思います)
接ぎ手部は金属の筒っぽなので、中に空間があります。
なので、ロケットの姿勢を制御したり、電源(電池)などの
電機的な機器を積んでいます。
前回はノーズフェアリング部でも衛星を積んでいないロケットの先端部:ノーズコーンと
呼ばれるものの作り方でしたね。
今回は衛星を積んだロケットの場合の”ノーズフェアリング”の作り方を
宇宙チャンネルも作った経験談をもとに書いていきたいと思います。
ロケット全体がそうですが、ノーズフェアリングもなるべく軽く、でもG(加速度)などに耐えうる強さを持ったものでなければなりません。
そこで材料としては前回でたFRP(繊維強化プラスチック)またはアルミが使われます。
また、形状は衛星を宇宙空間に放出するのが使命なので、2分割形状になっています。
そして、ロケットの先端部には空力加熱がかかるので、熱に耐えなくてはいけませんので、
何かしらの耐熱対策をしています。
空力加熱をもう一度お話ししておきます。
空気が圧縮されると、狭い範囲で多くの空気が密集するので、空気の分子の運動が活発になり、
運動が活発になるということで熱を持つようになります。温度が上がるということですね。
ロケットは秒速:何キロというすごいスピードで宇宙へ向かっているので、先端には空気の溜まり場のような場所ができます。その空気はそのスピードにより、圧縮された空気なんですね。
そんな色々な条件があるノーズフェアリングはどう作られているか。
中身にはアルミの蜂の巣構造(ハニカム構造と言います)をしたもの、段ボールの中身で
も時々あるようなこんな形状のものを敷き詰めていきます。
最後に内側となる部分には再びFRPのシートを敷き詰めていきます。
一連の流れの中でやはりまんべんなく接着が重要なポイントですね。
ちゃんと接着されていない部分があるとそこから剥離が進んでしまいますから。
セロテープも全面ビッタリくっついていると剥がしにくいですけど、一箇所でも
剥がれている部分があると簡単に剥がれしまうので一緒ですね。
他のものとの接合面は接着面に気をつかわなくてはならないので、手で仕上げています。
”加減”がわかるのはやはり人の感覚なのです。ここは今の機械ではできないところだと思います。
人工知能が発展し、”人の加減”もできるようになったら別ですが。
そして、最後は耐熱の処理です。
なので、さらなる耐熱の対策が必要なのです。
耐熱には断熱性の発泡剤を吹き付けるか、耐熱用のコルクを接着する方法がとられます。
私、宇宙ちゃんねるはコルクを接着する方法しか経験がありませんが。
接着剤はあらかじめコルクに塗っておいて半乾き状態で接着します。
そもそも接着剤は塗りやすくするために、ぬるぬるしていますが、塗ってからすぐですと
ぬるぬるしているからうごいていしまいますよね。なので、ある程度表面が膜ができて
触っても接着剤がつかない程度にしてから、接着します。
靴を修理するような黒いゴムの接着剤などもそうですね。
こちらもやはりポイントは満遍なく均一に接着剤を塗ることが大切です。
((レイヴン・フォトさんより引用)
機械化できるところは積極的に進めて、コストを安くしていかないといけないですが、
きもの部分はやはり”人の技術”で抑えないといけない。
一見、最先端のようなロケット作りでもそんな職人技のようなところは数多くあるところが
また面白いところです。
でも、これからはロケットそのものを安く作っていかないと、商売になりません。同じものを作るようなロケットのライン化をして、コストを抑えていくようなことが世界で戦う上で国産ロケットに不可欠になっていきます。
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