天体望遠鏡の構成

望遠鏡は大きく4つの構成からできています。

望遠鏡は主に“鏡筒、架台、脚、接眼レンズ”の4つです。

それぞれにはいろんな種類があり、それによって望遠鏡の性能が違ってきます。そして、価格も違ってきます。

いろんなものを組みあわせることで、その望遠鏡の特色がでてきます。
[mokuji]

鏡筒のいろいろ

屈折式

筒先の大きなレンズで天体の像をむすばせるタイプの望遠鏡です。

下の図は屈折式の鏡筒の断面図です。

対物レンズをとおった光は望遠鏡ののぞく口のあたりで天体の像を結びます。対物レンズは金属の筒に収められていますがこの金属の筒を”セル(鏡室)”と呼びます。セルの内側の直径は”有効口径”になります。

 

 

 

 

 

反射式

反射鏡で天体の像を結ばせるものを反射式といいます。

下の図が反射式の断面図です。

鏡筒の後部には大きな凹面鏡があり、これを”主鏡”と呼びます。

反射式には大きくニュートン式とカセグレン式があります。

ニュートン式

天体の光りを受けた主鏡が結ぶ像を”斜鏡(平面鏡)”で鏡筒の側面に導いて

観察する仕組みです。主鏡は放物面という非球面の形になっています。

この放物面で望遠鏡をのぞくあたりで像を作っています。

カセグレン式

凹面の主鏡と凸面の副鏡を組みあわせた反射望遠鏡です。この方式だとニュートン式にくらべ
焦点距離がながくとれるので全長がコンパクトなのが特徴です。

カタディオプトリック式

反射鏡とレンズを組み合わせ構造で天体の像を結ばせるタイプのものです。

大まかには2つの方式があります。

望遠鏡の筒先に大きなレンズをつけるタイプ(シュミットカセグレン式)と焦点の近くに数枚の補正レンズ群を配置するタイプです。

シュミットカセグレン式

主鏡も副鏡も球面でできたカセグレン系の筒先に非球面の補正板をつけたタイプです。

 

 

 

 

 

焦点付近に補正レンズをつける方式

ニュートン式やカセグレン式の焦点付近に補正レンズを配置しています。

 

 

 

 

 

 

鏡筒を乗せる架台の種類

経緯台の種類

経緯台はさまざまなタイプがあります。経緯台は左右動かす方位軸(水平)、上下動かす

高度軸の2つの軸からなっています。軸を動かす時は、軸のクランプゆるめて回転させ

天体をとらえたらクランプを締めて固定します。

微動装置付き経緯台

経緯台はとらえた天体を縦横の2軸をゆっくり動かしながら、天体を追尾する必要があります。

なので、多くの経緯台は歯車やねじがついた微動装置を2軸に備えています。

 

 

 

 

 

 

フリーストップ式

この形式は2軸のクランプを締めすぎず、緩めすぎず、軸がスムーズに動くようにして

(ピタッと止めたところで動かないぐらい)、2軸を手で動かして天体でとらえるものです。

操作が簡単ですが、動いていく天体を手で調整して追っていく必要があります。

フリーストップ式でも微動装置がついているものもあります。

 

 

 

 

 

自動追尾と自動導入機能がある経緯台

コンピューターで2軸を自動制御して、望遠鏡をみたい天体にむけたり、自動で天体をおってくれる

機能がついた経緯台も最近は多くあります。手動で探したり、追尾するものより、価格的には割高に

なります。

 

 

 

 

 

赤道儀の種類

赤道儀はいろんなタイプのものが発売されていますが、

極軸(赤径軸)と赤緯軸という2つの直交する回転軸をどれも備えています。

使いはじめに極軸が天の北極に向くようにセットすれば、地球の自転に合わせて、極軸を微動させれば

ずっと天体を追うことができます。

追尾操作を自動的に行うモータドライブ装置や極軸を簡単に合わせることができる曲軸望遠鏡などの

オプションも充実しています。

ドイツ式赤道儀

小型で汎用性の高い赤道儀です。鏡筒と赤道儀の接続は規格化されたアダプタを介しておこなうので

バランスウェイトを加減するだけで、いろいろな鏡筒にのせかえたり、撮影用のアクセサリーを追加できる

利点があります。デメリットとしては天頂付近に鏡筒を向けると鏡筒が脚にぶつかることです。

 

 

 

 

 

 

 

 

フォーク型赤道儀

海外メーカーではよく見かけるタイプです。鏡筒と架台がセットで販売されていることが

ほとんどです。ドイツ式のようなバランスウエイトが不要なのがメリットです。

デメリットとしては鏡筒が重いというのがあり、脚にセットする場合は、場合によっては

一人ではできないくらいの重さの物もあります。

 

 

 

 

 

 

接眼レンズの種類

対物レンズが結ぶ像を虫めがねのように拡大して皆さんが実際みるレンズを”接眼レンズ(又はアイピース)”といいます。

実際に天体をみるところの接眼部にレンズを差し込んで使います。

接眼レンズの焦点距離でかわる天体望遠鏡の倍率

接眼レンズにはおのおの焦点距離があり、接眼レンズの筒の部分に数字であらわされています。

 

 

 

 

(出典:Vixen)

天体望遠鏡の倍率は鏡筒にある対物レンズの焦点距離とこの接眼レンズの焦点距離で決まります。

倍率の計算方法は

(対物レンズの焦点距離)÷(接眼レンズの焦点距離)=倍率

となります。

例えば対物レンズの焦点距離が1000mmの鏡筒に焦点距離25mmの接眼レンズを差し込んだ時は

1000÷25=40

となり、40倍の倍率となります。

 

 

 

 

(出典:日の出光学)

接眼レンズの差し込み口の寸法規格

接眼レンズの差し込み口は”スリーブ”と呼ばれます。

このスリーブ径は下の図のように決まった24.5mm、31.7mm、50.8mmと

決まった寸法規格があります。それぞれに特徴があります。

天体望遠鏡のスリーブ径と同じ径の接眼レンズはメーカーが違っていても

差し込んで使うことができます。天体望遠鏡のスリーブ径とちがう接眼レンズは

アダプター使うことで差し込むことができます。

24.5mm:昔は主流のサイズだったが、最近では少なくなったスリーブサイズ。

おのずと接眼レンズの径が小さくなるので、鏡筒内の遮光環の設計が

容易になるが、レンズが大きくできないので、視野を広げられないデメリットがあります。

31.7mm:もっとも多く生産されているスリーブサイズ。低倍率から高倍率まで汎用性の高いサイズです

50.8mm:大型のスリーブサイズ。主に低倍率で広角の接眼レンズに採用されています。

脚の種類

脚も天体望遠鏡のパーツとして重要なポイントです。

少しの力で上の載せた機材が揺れたりしては、その鏡筒などの性能を生かせません。

持ち運びという点では軽いもののほうがよいですが、使用中の安定性は重量のある

もののほうが優れています。材質はアルミ、ジュラルミンなどで作られています。

三脚

コンパクトに収納でき、望遠鏡を適当な高さに調節できたり、頑丈さを特徴しているものもあります。

ねじれに弱いと赤道儀の場合は極軸がずれてしまうので、頑丈さはやはり重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピラー脚

金属の柱ような脚です。脚の強度がつよい、天体望遠鏡が天頂付近を向いていても

干渉しないなどのメリットがあります。一方、重かったり、かさばるのがデメリットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓上脚

小さい望遠鏡で手軽に観察するときに使います。

本格的な天体観測はできないので、気楽な星空観測に使います。

タイトルとURLをコピーしました