望遠鏡の組み立て方・使い方

”望遠鏡の仕組み”で解説したように望遠鏡には鏡筒、架台、脚、接眼レンズといった主な構成があります。
その中でもいろんな種類があることもお伝えしました。
ここでは代表的なパターンの望遠鏡の組み立て方を解説して生きたと思います。

屈折式経緯台 天体望遠鏡の組み立て方

 

 

 

 

 

 

屈折式望遠鏡鏡筒で片持ちフォークタイプのビクセン ポルタⅡ A80Mfを例にします。

①三脚の設置

設置場所は水平で安定した場所を選びましょう。高さ調整ネジを緩めて、三脚を適当な長さに調整します。

調整後はしっかりネジを締めます。

三脚の1本を軸に、1本の脚を同時に開きます。その際しっかり開きます。地面が柔らかい場所では三脚の先端がとんがっているのでしっかり差し込みます。

アクセサリートレイ固定ネジを取り外し、アクセサリートレイを差し込み、固定ネジで固定します。

②架台の取り付け

このタイプは架台と三脚が一体型なので取りつけは不要です。上下および方位微動ハンドルだけを取り付けます。取り付ける場所はそれぞれ2ヵ所あります。

操作のしやすい箇所に取り付けましょう。その際、微動ハンドルのくぼみと取付け部の平らな部分を合わせて奥まで差し込みます。

③鏡筒の取り付け

鏡筒固定ネジを緩めます。鏡筒にあるアタッチメントプレートをプレートホルダー中央に合わせてはめ込みます。

鏡筒固定ネジをしめ、その次に鏡筒脱落防止ネジを締めます。鏡筒の対物キャップを外します。

架台に鏡筒を取り付け、鏡筒バンドをゆるめて鏡筒を前後させ、高度軸周りのバランスをとります。

④ ファインダーの取り付け

ファインダ―脚にある2本の調整ネジをゆるめます。ファインダ―脚の銀の突起部を引っ張りながら、ファインダーを取り付けます。

鏡筒部にあるファインダー脚固定ネジをゆるめ、ファインダーを鏡筒に取り付けます。

⑤接眼部のパーツ取り付け

キャップを外し接眼アダプタを取り付けます。

天頂ミラーを取り付け、その天頂ミラーにまずは低倍率の接眼レンズ(アイピース)を取り付けます。

⑥鏡筒部のバランス調整

最後に高度軸まわりのバランスをもう一度チェックして完了です。手をはなしたとき、鏡筒が自重で傾かないように調整しましょう。

 

反射式赤道儀の組み立て方

屈折式経緯台にくらべると大きく重いタイプになります。

① 三脚の設置

こちらは屈折式と同じです。

②赤道儀架台の設置

あらかじめ赤道儀の差し込み部分のネジを調整し、差し込み部分に三脚の突起部分が入るようにしておきます。

三脚の突起部分を赤道儀の差仕込み部分差し込み乗せます。赤道儀とリつけシャフトをしたからねじ込みます。

その際赤道器は重いので片手で支えながらねじ込みます。はじめにゆるめた差し込み部分のネジしっかりねじ込みます。

シャフトのつまみを取り外し、アクセサリートレイを差し込み、シャフトのつまみを取り付けます。

③バランスウエイトの取り付け

赤道儀のバランスウエイト取り付け部のクランプを緩め、シャフトを引き出します。その際、最後もまでシャフト引き出してください。

シャフトのバランスウエイト抜けどめを取り外します。バランスウエイトのつまみをゆるめ、ねじがバランスウエイトの差し込み部分から

ひっこめます。そして、シャフトにバランスウエイトを差し込み、先ほどゆるめたつまみを締め付けシャフトにバランスウエイトを取り付けます。

バランスウエイトは重いので落下しないように注意して行ってください。取り外していたバランスウエイト抜けどめを取り付けます。

 

④鏡筒の取り付け

屈折式と同じように鏡筒固定ネジ、鏡筒脱落防止ネジを緩め、鏡筒にあるプレートをプレートホルダー中央に合わせてはめ込みます。

 

 

 

 

 

 

⑤ ファインダーの取り付け

屈折式と同様に取り付けをします。

⑥バランス調整

赤道軸が水平になる位置でクランプを固定します。鏡筒の固定ネジをゆるめ、鏡筒をはなしたときに傾かないように鏡筒の前後のいちを調整します。

クランプをゆるめ、バランスウエイトの位置を調整し、鏡筒とバランスウエイトのバランスがよいところ(手をはなしても傾かない位置)で調整します。

赤道儀 極軸の合わせ方

星は地球が自転しているので、天の北極(北極星のすぐ近く)を中心にして日周運動をしています。
赤道儀はその極軸を天の北極にあわせることで、天体の日周運動をを簡単に追尾していくことができるようになります。
長時間で観測・撮影ではモータドライブなどを使用すると自動追尾もしてくれるので、観測がずっと楽になります。
赤道儀での観測の際には、はじめに極軸あわせが必要となるので、その方法お伝えしていきます。

天の北極のよい目印はこぐま座の”北極星”です。北極星は天の北極より少しだけ(0.6度)ほどずれています。
方位磁針やコンパス、スマフォアプリを使って極軸の方位と傾きを合わていきます。

①方位
コンパスやスマフォアプリのコンパスを使って、極軸を”真北”に向けます。

②高度
高度は自分のいる緯度と同じなので方位磁針やスマフォアプリ、自分のいる経緯と緯度がわかるサイトを利用して、極軸の高度現在地の高度に合わせます。

③微動装置を使って高度と方位を微調整
①,②で大よその北極星の位置にあっていると思いますのでファインダをのぞき、微動ハンドルでファインダ中央に
北極星がくるまで、調整します。

極軸望遠鏡を使った極軸の合わせ方

先ほどは天の北極からわずかにずれた北極星を天の極軸として合わせる方法でした。
最近の赤道儀には極軸の位置を正確に天の北極にあわせるための極軸望遠鏡がついています。
これは、視界にみえる目盛やマークの指定位置に北極星が重なるようにして合わせる大変便利なものです。
これにより、極軸望遠鏡の中心と天の北極をほぼ正確に合わせることができます。

極軸望遠鏡のまわりに取り付けられた回転メモリの日付、時間、観測場所の緯度をあわせると、北極星を導入する位置を
示してくれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

極軸向きの微調整

極軸あわせをしたあと、極軸がずれていないか最終チェックをしましょう。
(方位方向の修正)
南の方角の星を観察して
星が北にずれる場合は、極軸の方位を東に修正します。
星が南にずれる場合は、極軸の方位を西に守勢します
(高度の修正)
北東の方角の星を観察して
星が北にずれる場合は、極軸の高度を下へ修正します。
星が南にずれる場合は、極軸の高度を上へ修正します。

それでも極軸がずれる時は

①極軸望遠鏡が偏心している
メーカーで極軸望遠鏡を取り付ける際に、偏心がうまれてしまうことがあります。
極軸望遠鏡が中心位置からずれていると、極軸を90度回転させたときに中心位置と
実物のものでずれがでてしまいます。調整ネジがついているものはネジの締めたり
ゆるめたりによって、極軸の偏心を取り除くことができま。
取りきれない場合や調整ネジがない場合はメーカーに調整してもらのがよいです。

電子極軸望遠鏡

2015年に電子極軸望遠鏡”Pole Master”が登場しました。Pole Masterは
高感度CCDカメラに焦点距離25mmのCCTVレンズユニットを組み合わせものです。
パソコンなどとつないで専用ソフトを使って、極軸を正確にあわせます。
具体的にはソフト上で北極星や指示した星を選択した後、赤道儀をターンテーブルを
回転させることで実際の回転軸と極軸(天の北極)があっているかとPole Masterが
識別し、正しい北極星の位置を示してくれます。

 

 

 

 

 

 

ファインダー調整のしかた

天体望遠鏡ですと視野が狭いので、低倍率で視界の広いファインダーを

使って、あらかじめ目標の天体に望遠鏡を向けるのがファインダーの役割です。

暗い天体をみる場合は、まずファインダーで目安となる近くの明るい星に望遠鏡を

大よそ合わせるようにします。

ファインダと天体望遠鏡は組み立てた状態ですと、視界の中心:視準があっていないので

この2つの視準をあわせるファインダーの調整が発生します。

初心者のかたは暗くなると少し難しいので、昼間の間に行いましょう。

天体望遠鏡には倍率の低いアイピースをつけます。

鉄塔など遠くの目標物に望遠鏡を向けます。天体望遠鏡のアイピースで目印となる目標物を

視界の中心にもってきます。

次にファインダーをのぞきます。

ファインダーの視界で先ほどの目標物がファインダ―の中心になるようにファインダー調整ネジを

ゆるめたりしめたりして、目標物を十字の中心に持ってきます。

暗い天体を見つける時のファインダーの使い方

視界が狭いので、暗い天体を、天体望遠鏡で見つけるのは難しいところがあります。

そこでファインダーと星図を使って天体の位置がわかる”星図”を使って目標の天体を見つけます。

①まず、星図で目標の天体の位置を確認します。

②おおよその位置がわかったらファインダーをその方向に向けます。

③目標の天体の近くに明るい星を見つけ、ファインダーから見える像と星図を比較して、

目標の天体の位置の目当てをつけファインダーの中心に持ってきます。

望遠鏡のアイピースを覗くと目標の天体が見えていると思います。

天体自動導入装置

天体自動導入装置をつかうと初期設定を行うだけでそのあとは装置に導入されている
目標の天体の番号を選ぶだけで簡単に天体を捉えることができます。
そのあとは自動で天体を追尾してくれます。

初期設定は装置が明るい星を選び、それを視界の中心に移動させることを、3ケの星で
繰り返し行い、天体望遠鏡と自動導入装置のずれの補正を行います。

赤道儀で長時間の追尾や撮影の場合は、赤道儀の極軸(天の北極とずれがある)がずれていると
追尾にもずれが起こるので事前の正確な極軸合わせが必要です。
経緯台の場合は、赤道儀のように天の北極を回転軸にしたタイプでないので、自動で天体を追尾でき
とても簡単に楽しむことができます。

星の地図 ”星図”とは

地球上の位置を経度・緯度で示すように、天球の星の位置を赤経・赤緯で表したものを”星図”と呼びます。
この星図を使うとみたい天体のおよその位置がわかります。

 

ピントの合わせ方

通常、みたい天体を視界に捉えるとピントがぼけていると思います。
その時には手元のドローチューブを前後して、ピントを合わせます。

屈折式望遠鏡の場合は、星がぼんやり広がった丸担っているので
その像が鋭い像になるところにピントを合わせます。

反射式望遠鏡ではピントが合っていないと天体がドーナツ状に見えると
思います。ドローチューブを前後させて鋭い天体像になったところでピントを
合わせましょう。

高倍率になるとピントはほんの少しでもずれが出てきます。特に写真撮影などをする場合は
ピント合わせがとても重要になります。
そのため、各メーカーでも精密なピント合わせができる微動装置がついているものがあります。

ドローチューブの調整によるピント合わせが行っても、像がはっきりしないことがあります。
さまざまな理由がありますが

・シーイング(大気の揺らぎなどが大きい)

・高倍率すぎて望遠鏡の分解能を超えている。

・反射式の光軸がずれている。

などが主な原因です。

シーイングは時間帯によっても変化しますので、じっくり待つもことも必要になりますが、
シーイングが悪い時には観測をシーイングの良い日に改めた方が良いでしょう。

天体望遠鏡の光軸調整

反射式望遠鏡では光軸がずれてしまうと見える像がぼやけてしまいます。
その場合は望遠鏡の光軸調整が必要になります。
光軸調整にはセンターリングアイピース(レンズが入っていない光軸調整用のアイピース)を
使うと便利です。

調整方法はセンターリングアイピースで見える斜鏡の中心が視界の中心に来るように望遠鏡の
光軸調整ネジの押し引きで合わせます。

 

 

 

 

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