急きょの出張で何年ぶり、いや10年ぶりにH2Aロケットの打ち上げ場の種子島宇宙センター(TNSC:Tanegashima Space Center と僕らはよんでいる)を訪れた。
H2A 41号機打ち上げ成功の3日後。町には”ロケット打ち上げ成功”ののぼりがまだ残っていた。
実はロケットメーカーに勤めていても、仕事でそうそう“打ち上げ”は見れない。
実際、僕も打ち上げを現地で見たことはない。
打上げ作業で行く作業者・技術者以外は社長か重役ぐらいが見にいける感じ
今回は、一部ですがロケット打ち上げ準備作業やそれに対して思ったことを書こうと思います。
ロケット打ち上げ準備作業の実情は結構古臭い
10年前にはなかったスマフォや電子マネー、世の中の動きは早い。
打ち上げ準備作業やその周辺はどうなのだろうと思っていたけど、20年前にH2Arロケットうちあげ体制が出来上がった時とそれほど変わっていないのが実情だった。
モバイルがつながりにくい・・・
特に、すごく不便に感じたことはモバイルがつながりにくいいこと
僕はある作業の指揮で1日だけ行くことになったのだが、種子島の勝手がわからないので人に尋ねることだらけ。電話をしようにもいちいち外にでないとつながらない
危険なものを扱う場所は飛行機の機内モードのようにつながらないことはわかるけど、全般的に通信状態が悪かった印象
円滑な打ち上げ準備業務をする上で人とのやりとりが円滑にできることは必要なのになと思った次第だ。
”何かに書く”ベースが主体の作業
そして、会議室の予約が”掲示板に記載”とかなりアナログだったこともちょっと衝撃(いまどきはパソコンやモバイルで予約状況がわかるのが当たり前だけど)
わざわざ掲示板のところまで出向かなくてはならない。
製造の現場は建築現場のような雰囲気の”男の現場” 製造現場なんてこういうものかなとも思いますが、紙でのやりとりがまだまだ主体。ITとはかけ離れた世界。
では、今後どうすれば良いかを考えた
通信経路を確保せよ
危険物作業の場所は電波を飛ばすのはNGだと思うので、有線でよいのでパソコンも含めた通信機能を確保する。エリアにも黒電話的なものがあるだけど、ものをみながら会話ができないので有線を引っ張ってくるなどして作業や業務が効率よくできるようにする。
IoT(Internet of Thing)を使った効率と信頼があがる 打ち上げ準備作業
泥臭い部分は多少 残ると思うけど、物の管理などは紙に残すとか人が行うような仕組みはやめたほうがいい。
これも佐川急便がCMしているタグ管理などでものを識別してその情報を集めるだけ。
ロケットでは何万点もの部品が使われるけど、トラブルがおきたときにそれぞれのものがどんな素性であったかを後から簡単にわかるようにしておく。(これを今は人にたよっているので)
新しいH3ロケットは
・ロケットの値段を下げること
・信頼性を確実にする
ことがかかげられている。
信頼性が最優先のミッションなら人のミスを防ぐような仕組みをなおさら考えた方がいい。
また、エリア管理や完成したロケットを管理しているもの人がやっている。トータルでの人件費はどうなのだろう。長い目で自動監視などを考えていけば、今はその変換点なのではないかと。
それこそ、衛星データがリアルタイムになれば、”ロケット場を人工衛星で監視する”ことができるようになるはずだ。
打ち上げ場での作業は”現地採用・コンパクト”に
射場での作業は長期出張になることが多い。出張に行く人にはスキルも必要になるので、メンバーは結構固定されている。
なので、出張者は家になかなか帰れず疲弊していたりする。(僕のようにたまにならいいが、1年の半分もいっていたらそりゃ疲れる・・・)
なので、
①なるべく射場作業をコンパクトに
②現地スタッフで最大限できるようにする
ことがこれから更に目指すこと
①はなるべく種子島の作業を減らすようにロケットを製造している工場でユニットをつくりあげる。種子島ではそれを段々に組み立てて、点検すればいいだけにすればもっとコンパクトにできるはずだ。
アメリカのスペースXは最近もわずか63日後に次のロケット(”ファルコン9”)の打ち上げを行っていた。
きっと、上に書いたようなことはもうやっているはずだ。
②これは種子島で雇用が広がることにつながる。ロケット周辺の作業は結構、現地の方が働いているが、技術が必要なところはまだあまりいない。
製造メーカーが積極的に現地スタッフを採用し、製造している工場で技術を学んでもらって種子島で発揮してもらう。何年か期間はかかるがそういうサイクルはつくることはできる。
これから打ち上げる本数が多くなったらもっと威力を発揮するようになる。
2020年度にはH3ロケットの打ち上げがある。
僕がみえないところできっと進歩はしているのだろうけど、初ものはバタバタする。
上で提案したようなことまで手が追い付かないだろうけど、進めていかないとまだ”コストが高いロケット”になってしまう。
日本のロケット産業、宇宙産業はもっと自動車や物流(佐川やアマゾン)など他のジャンルから学ばないとならないことが多くある。
その為には、もっと他の産業や海外宇宙ビジネスの知識を吸収していくことだ。僕もこれからそういった転用できることを学んだら発信をしていこう。
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