唐突ですが、ドラマ”下町ロケット”のバルブシステムでは何がキモだったでしょうか。
バルブシステムそのものも重要ですが、
帝国重工に真似できない、佃製作所の”高い製造技術”でしたね。
この場合の製造技術は簡単に言うと
”何ミクロンという極限に近い精度でものをつくる”ことです。
そこでベースになってくるのが機械工学です。
機械工学と言っても幅は広いです。
主な項目だと
・熱力学
熱が力学的な仕事を行う。
分野になります。
ロケットの場合、ロケットの燃焼にかかわる部分で必要です。
下町ロケットですと、バルブシステムによってロケットの燃料
(液体水素・液体酸素)を制御しますが、燃料(液体水素・液体酸素)を
圧縮して燃やすことにより、高温高圧のガスを作り出し、それが一気に
噴出すことによって、ロケットの推進力となる。
”熱がロケットを動かす力”となるのです。
(jaxaさんより引用)
・機械力学
”機械を動作をさせてものを動かす”
分野になります。
簡単な例でいうと、”自転車を動かす仕組みは人がペダルを動かす車輪が回り
自転車動き出します。ペダルの回転をチェーンや歯車などで
自転車のタイヤの回転に変換していますね。
ロケットですと、ガスが一気に吹き出る部分:ノズルはロケットの姿勢を
制御するのにいろんな角度に傾ける必要があるため、”アクチュエーター”と
呼ばれる押し引きをする機械的に動くもので引っ張って傾けます。
そのアクチュエーターは油圧や電動で動きますが、その動く仕組みは
先ほどの自転車の例と同じように
様々な機械の組み合わせでロケットを動かす
ことになります。
(アクチュエーター 宇宙博より引用)
・流体力学
物体が空気の流れや水の流れを受けた時に、
どれくらいの力がどのようにかかるのか、
力の流れのメカニズムを解明する
分野になります。
ロケットでいう流体は気体(空気や高圧ガス)になりますね。
ロケットでの例ですと、ロケットの表面には機能上必要な突起物が出ています。
(例えば、配線をしている部分のカバーなど)ロケットが超高速で進むときに、
こう言った突起物がロケットをローリング(回転)させ、姿勢を制御できなくなる 原因になるので、あらかじめローリングしないように考えなければなりません。
そのときに、超高速での空気の流れが突起物によってどうなるのかを知り、
対策を打つ必要があります。
”ロケットを軌道通りに正確に飛ばす”
ために必要となります。
(横浜国大さんより引用)
・材料力学
機械や構造物に負荷が加わったときの変形、
そして破壊の原理を研究する
分野になります。
ロケットに限らず、世の中のあらゆるものは
”どのくらいの力がかかったら変形または破壊するか”
ということをあらかじめ知っておかないといけません。
ロケットの代表的な例では、飛んでいる時は超高速で飛んでいますので、
空気抵抗を受けますね。その時に紙や木でできている部分があったら一瞬で
壊れてしまいます。なので、その時にかかる力以上に強い強度の材料を
選定しなければなりません。
(ウィキペディアさんより引用)
話は下町ロケットに戻りますが、高性能のバルブシステムを作るには
まず、その設計ができなければなりません。
設計をするには、その材料の性質を知っていなければなりません。
しかし、ただ材料の性質を知っているだけでは、機械や人が出来うる超高精度の寸法を達成することはできません。
知った上で、どの加工方法・条件が最適かを多くの試作によって導き出すのです。
下町ロケットではそこが佃製作所しかでか出来ない”ノウハウ”なんですね。
加工方法なども機械工学では一通り学びます。機械工学でいうと”生産工学”という
ところで加工方法などを学ぶのかと思います。
(新価値想像展より引用)
宇宙業界への就職マニュアル
第1回 化学、第2回 電気工学とお伝えしてきましたが、
機械工学はロケットを作るために全般に役立つものだと思います。
そこから、流体や熱や金属材料などのスペシャリストに成る選択肢も広がります。
まず、ロケットを作るためにどんな分野を学べば良いんだろうと
悩んだ時は、”機械工学”という道を進んでおけば、間違いはないかと思います。
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