群馬高専の超小型衛星と群馬で作られるイプシロンロケットのコラボ

ロケット関連のはなし

7/4のヤフーニュースにも取り上げられた上毛新聞の記事

昨年の12月にJAXAが公募した ”革新的衛星技術実証2号機のテーマ公募”で採択された超小型衛星は群馬高専と高知高専が主体となって他高専と一緒に製作をすすめているものだ。

テーマは漢字の羅列でわかりにくいが、要はこれからの宇宙開発で役に立つ”新たな技術提案、安く衛星をつくれるような提案”に対して、宇宙空間そのものでそれらがはらたくかを確かめようというもの。

群馬高専では主に超小型人工衛星の姿勢を制御するために開発された”小型リアクションホイールが宇宙空間でうまく機能するかを実験する。

リアクションホイールとは人工衛星の姿勢が制御:傾かないようにするもの。傾きをセンサーなどで検知し、ホイールが回転することによって、反対側に戻ろうとする力:反作用が働き、姿勢が元にもどるというものだ。(下の図でいうと反作用で傾いた箱型の人工衛星がまっすぐに戻る)

ドローンは基本4つのプロペラがついているが、1つのプロペラだとプロペラの回転により本体が反作用を受け反対側に回転してしまうため、4つのプロペラは互いに反対方向の回転をして反作用の力を打ち消すことで本体を安定に保っている。

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人工衛星であるとX軸、Y軸、Z軸と3軸をリアクションホイールで姿勢制御している。

超子小型衛星は10センチ角のサイコロ状のものでその名のとおり、とても小さくリアクションホイール自体もさらなる小型化が今後必要になる。

群馬高専の考案したものは今まで1/3程度の大きさで作られている。携帯電話がより小型化されたように、人工衛星も機能を保ちつつ、これから小型化へすすむ。

この点においてニーズにマッチした提案であったのが採択された理由だ。

この人工衛星、大きさからしイプシロンロケットではメインとなる衛星が固定されている1段下の土台から放出されるのではと思う。高度は上空 約500km、宇宙ステーションがいる高度400kmより100kmほど高い位置になる。

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この軌道に投入された衛星は1日 10数回 地球を回る。日本上空は定期的に何日かに1回を通過する。そこで、姿勢制御がうまく機能しているかの確認を行うかと考えられる。軌道はどうしても地球に近い分、空気の抵抗を受けるので、だんだん高度が下がってきて、衛星が使える寿命としてが数ヶ月~1年ほどで、その役割を終える。

イプシロンロケットに話を変えよう。イプシロンロケットIHIエアロスペースが製造している中型ロケット。その拠点は群馬 富岡製糸場がある富岡市になる。

群馬高専で超小型人工衛星がメインで作れられた場合、ロケットとのインターフェースをチェックするのは同じ群馬県でできる可能性があり、近くでできるのは有利な点だ。

内閣府 宇宙戦略本部の計画では打ち上げ2020年の予定。新たなものを作るにはいきなり実機は作らず、試験品を作って地上でできる試験を行って問題ないことを確認した上で、実際にロケットに搭載する衛星を作ることが多いので、今はその試験品の製作の真っ只中かもしれない。

担当する高専生にとっては、”自分たちが作った衛星が宇宙に打ち上がり、近い未来の超小型に貢献する技術になるかもしれない”という思い。エンジニアとしてはとてもやりがい・充実感があるミッションだ。

この経験を通して未来の宇宙エンジニアとして僕を含めたエンジニアの後をつなげてくれる存在になってくれればと、この記事を見て率直に感じたので、それを期待して僕らも新たな宇宙開発の準備をすすめよう。

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