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これからの日本のロケットは、アメリカやヨーロッパ、世界のロケットに対抗できるか?(大型ロケット編)

今、日本では次期大型ロケット”H3”の開発がすすんでいる。

これは、現行のH2Aロケットよりも大型化し、より大きな衛星を静止軌道(高度36000kmで地球の自転を同じように動く軌道)に乗せる需要を実現させるためで、打上げコストも約50億円、射場での整備期間も現状の半分の26日をめざしている。(今のロケットの整備期間は発表されている53日が経験上、大体あっていますね。)

 

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(H3ロケット)

 

日本は打ち上げの信頼性という点では、他国を上回っている。しかし、打上げコストや打上までの期間では後れをとっている。

 

そこで僕が知っている範囲とサイト等で調べられる限り、これからの世界のロケットについてもう少し細かく調べてみた。少し足りないがこの表の通り↓

 

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コスト面ではイーロン・マスクが創業したアメリカのスペースXのロケット”ファルコン9”が打ち上げコスト30億と日本はじめ他の国の打ち上げコストを圧倒する安さになっている。

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(ファルコン9)

 

これは

①なるべく開発費をかけない方法をとっている

②多く打ち上げることでロケットの製造をライン化

が安くできるとても大きな要因だとおもう。

 

①はファルコンヘビーではもっとも推力を必要とする地上からの第一段ロケットの推力を

既に開発済みのファルコン9ロケットのブースター(ロケット)を3本使っている。全く新たな仕様のロケットをはじめから作るには、大きな開発費用がかかる。

 

今まさにH3ロケットの開発が行われてるが、新たなコアエンジンの開発など、開発には地上での燃焼を確認する試験、強度が問題ないかの試験をほぼ同じ仕様のコンポーネントを作って行う。それが時には数回にわたるので、実際に宇宙に飛ぶ前の開発費用がどんどん増えてくる。

 

ファルコンヘビーは3本の同じブースターをつなぐのにも技術的な開発など、苦労はあったと思うが、そもそものものは出来上がっている。なので、なるべく安く開発が抑えられる。

 

H3ではそれぞれ違うコンポーネントの開発が行われているのでどうしても開発費があがってしまう。

 

実際には日本のH3ロケットの開発費は国主体での開発なので、この開発費が実際の打ち上げ費用に割りがけして、コストが乗っかることはない。しかし、国から開発費がでるからこそ、コスト意識が違うのではないかと思う。

 

スペースXでの開発費は実際の打ち上げ費用から何年かかけて回収になる。しっかりと打ち上げで利益を確保し、開発費を回収していかないといけないので、ブースターを再利用して打上げ一回あたりにかかるコストを極力減らそうと動きが働く。

 

H3ロケットでは実際の打ち上げコスト50億で低軌道(2000km以下)への打ち上げ能力は推測で15トン程度(現状の1.5倍)

今、すでに打ちあがっているファルコン9:30万(衛星1kgあたりのコスト)

H3:33万円(2020年以降打ち上げ)

の計算になる。

 

おそらく、ファルコン9は再利用ロケットの活用や量産がもっとすすんでいるので、数年後にはもっと安い価格になっているだろう。

 

H3ロケットができたころには価格で水をあけられているのではと思われる。

 

アマゾンの創業者 ジェフ・メゾフ氏が興したロケットメーカー ”ブルーオリジン(Blue Origin)”もブースターの再利用を前提とした大型ロケット「ニューグレン」を開発している。コストもファルコン9に近い低価格の打ち上げコストを打ち出してくるだろうと思う。

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(New glenn  ロケット)

H3ロケットはもう開発が結構すすんでいるので、”開発後の打ち上げ費用を更に安くするには?”を考える必要がある。

それはスペースⅩが低コストの為に行った②の

”ロケットの製造をライン化”

をすることに繋がるのだと思う。

 

今は、多くてロケットの年間打ち上げ回数は5回ほど、月産何百万台とつくる自動車の製造と違って、ライン製造というほど、効率的に製造されていないのが事実だ。

 

ある程度リスク(在庫リスク)をとっても、腐らないもの(基本ロケットはほぼ金属や成形されたFRP(繊維強化プラスチック:軽量で強度があるため、車の内装のパネルなどによく使われている)なので食べ物のように”腐る”ことはない。(一部、経年で劣化する材料を使っている)

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経年で劣化して、性能が落ちるもの以外はある時期にまとめて製造して、製造コストを下げる。

 

できたものは、大きな倉庫に保管しておくなどのラインにちかい製造を行うべきだと思う。 そして、製造は誰でもできるようにマニュアル化されなければならない。

自動車のラインが忙しいと期間従業員でまかなうように、技量を必要とするところはごく一部で、それ以外は誰でもできるようにする。人件費を抑えるのも、安いロケットを作るための重要な要素だ。

 

あたりまえだが、1年に数回しか作らなかったら、ましてや何か月か空いて、つくっていると手順をまた確認しながらつくることになるので、作る時間の短縮ができなくなる。連続して作れば、おのずと覚えているので、段取りも含め、効率的に作ることができるようになる。

 

コスト以外での利点をうちだし、違うニーズを持ったお客さんをとらえるという違った視点での顧客確保という選択をするのがよいのではないかと思う。

 

実際の戦略も打ち上げ整備期間の短縮 53⇒26日でお客さんからの注文から要望の打ち上げ日の期間が短かった場合にフレキシブルに対応できるということを打ち出してすすめようとしている。

 

いろんなお客さんのニーズがあるので、ある一定の(柔軟な打ち上げ体制をもとめるお客さん)顧客をつかみ、使いやすさ勝負で世界で戦うのは生き残るためのある手段だとおもう。

 

そのためにも、すぐに打ち上げに対応できる”ロケットのつくりだめ”という作戦は重要なものになり、これからの日本のロケットビジネスでの戦い方としてやってみることを推し進めていきたい。